ゲーム感想「Vampire Survivors」
2021年12月よりSteam配信されているローグライク・シューティングゲーム。Poncle開発、販売。2022年5月現在Steamでアーリーアクセス中であり、以下の文章はバージョン0.5.205時点を遊んでの感想となっている。知人に進められたのがきっかけ。
また、日本語についてSteamにはローカライズされていないと表記されているが、実際は一部未翻訳であるものの翻訳されており、その出来は「95%」となっている。遊ぶ上ではゲームの特性も含めてほとんど問題ない。
本作は2022年5月現在300円という超安価となっている。またジャンルとしては「カジュアルゲーム」に分類されるだろう。カジュアルゲームの定義は曖昧ではあるものの、Wikipediaによると「短時間でのプレイが可能」で「ルールや操作方法が説明書を読まなくても把握できるほどシンプル」な、「誰にでも比較的簡単に遊べる」ものを指して呼ばれる事が多い。本作の操作は実にシンプルで、なんと基本的には上下左右移動とUI展開時の決定ボタンしか使わない。ゲームルールも非常に明快で、画面中央にいるプレイヤーキャラクターに向かって敵が押し寄せてくるので、移動でそれを回避しながら自動で繰り出される攻撃を当てて撃退していくという「だけ」である。ここまでの時点では、価格に見合った操作方法やルールであるといえる。
ところが「短時間で遊べる」という点において、本作はそこをいい意味で裏切ってくる。単純明快なルールと操作にも関わらず、恐るべき価格に見合わない中毒性とやりこみ要素を秘めているのだ。ゲームにはまたレベルアップによる成長要素があり、敵を倒したときに確率で出現する宝石を取ると経験値がたまっていき、レベルアップ時に武器やアイテム(所持するだけでステータス上昇)をランダムで提示される3つから1つ入手することができる。手に入れた武器やアイテムは強化が可能で、所持アイテムとの組み合わせで進化も可能。ただ武器もアイテムも持てる種類数はそれぞれ上限があり、取捨選択しなくてはならない。
こうしたキャラクターのビルド要素と、時間ごとに押し寄せてくる敵の種類や組み合わせといったウェーブ要素がある。敵の数は画面を覆い尽くすほどであり、これらが押し寄せてくるまでに何をどれだけ強化するか、それをどう切り抜けていくかといった戦略性と運要素のバランスが、ローグライクゲームらしい中毒性を生み出しているのだ。一部を除いて敵の出現パターンは固定なので、状況が再現しやすい点もプラスになっている。ゲームオーバーになるとレベルや強化はリセットされるが、道中手に入れたゴールドは持ち越されるため、それで自キャラの初期パラメータを底上げすることも可能。またキャラクター、ステージ、武器、アイテムといったアンロック要素もあり、それらを開放させるためにリプレイを促すなど、ゲームサイクルはかなり研究されていると思った。
あらすじや世界観については、ゲーム内ではしっかりとした言及こそないがヴィジュアルなどで一目瞭然だが吸血鬼とそれを狩る者たちの戦いとなっている。ストアページの説明文を翻訳しても「夜明けまで生き残れ」的なことしか書かれていない。またお察しの通りコナミ(現コナミデジタルエンタテインメント)が生んだ名作「悪魔城ドラキュラ」シリーズから多大な影響を受けており、キャラクターや武器などはパロディが多め。あくまで「吸血鬼モノのゲーム」としての記号的な抽出ともいえるが、基本的には固有の性格などは用意されていなければボイスなどもないパラメータや初期武器が違うだけの「ガワ」として機能している。
また、やたら演出画面の長い宝箱画面などクセのある要素もあり、借り物っぽい世界観でありながら独自性も垣間見えるという不思議な塩梅。ドットのクオリティも高く、音楽もあわせてしっかりと掴んでいるという点も印象が良い。
というわけで、価格や操作感に見合わぬ中毒性を持ったゲーム。ゲーム性はもちろんグラフィックや音楽などもしっかり作り込まれており、個人的には音楽が良い点が非常に良質だと思った。おすすめしたいが、遊ぶときには時間が溶けるのを覚悟でお楽しみを。
画像:© 2021 Poncle
Steam
https://store.steampowered.com/app/1794680/Vampire_Survivors/?l=japanese
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