映画感想「ゴーストバスターズ/アフターライフ」

2021年公開のファンタジー・SFコメディ映画。1984年、1989年に公開された名作「ゴーストバスターズ」「ゴーストバスターズ2」の続編に当たる作品となっている。監督は1作目と2作目(以下旧作)を撮ったアイヴァン・ライトマンの実子ジェイソン・ライトマン。主人公の少女フィービーをマッケナ・グレイスが演じるほか、ダン・エイクロイドやビル・マーレイ、アーニー・ハドソンといった旧作のキャストらも登場する。

あらすじ

母子家庭で暮らすフィービーの母方の祖父がなくなり、母キャリーは遺産として土地と屋敷を相続することになった。月の家賃すら厳しくアパートを追い出される寸前だった一家は、遺産を売ってお金に替えようと祖父の住んでいたオクラホマ州の田舎町サマーヴィルを訪れる。しかし家はボロボロでとてもお金にならず、結局そのまま居着くことに。のどかなサマーヴィルではここ30年ほど地震活動が活発で、その原因はまったくわかっていなかった。
祖父の残した遺品を整理するうち、フィービーは奇妙な機械を見つける。実はフィービーの祖父イゴン・スペングラーは、かつてニューヨークで巻き起こったおばけ騒動を鎮圧した「ゴーストバスターズ」のメンバーだった。その後のイゴンはおばけ退治の機器や車などすべてを持って仲間や娘のキャリーの前から姿を消しており、彼らとの関係は修復されないままになっていたのだが、実はその理由がサマーヴィルの地震と関係しており……というのが大まかな流れ。

感想

個人的にはかな~り面白かった。実はこの作品の少し前、2016年にも登場人物を女性にチェンジしたリブート版「ゴーストバスターズ」が公開されているのだが、本作はリブートではなく、物語的に旧作の続きとなったシリーズの正当続編となっている。
今作の大きな特徴は、主軸となるキャラクターが子供たちになったこと。ここは実は「大都会でオバケ騒動」「ボンクラ大人たちが主役」など、シリーズを構成する要素からの大きく変更された点となっている。それまでのシリーズとだいぶ毛色が違っているのだが、この切り口は個人的にはアリ。正面からそれまでと同じ「大人が都会でオバケ退治をする」という作りにするのではなく、新世代の子供たちが旧作の出来事を、かつて大人がお化け退治をしていたという「史実」に触れる体にすることで、昔の世界観を現代で無理なく成立させていると思った。「子供の目線を通したファンタジー」になっているのも、世界観を違和感なく受け入れられる配慮として一役買っている。リブート版でおそらくやろうとしていたであろうシリーズの「継承」や新世代へのバトンタッチのようなものまでしっかり行われ、かなり計算して作られているのではないかと感じた。

田舎道を歩くフィービーと「ポッドキャスト」の下校シーン。
切り取り方によってS・キングっぽさがあって自分は好き(そこかい)。

主人公のフィービーは現代っ子のイメージからすると「変わり者」に位置するのだが、人付き合いが苦手で悩んでいたり、兄のトレヴァーはバイト先の子に一目惚れしたりと時代を問わず共通するポイントは押さえており好感が持てる。ポッドキャスト用の音源を撮りまくる少年「ポッドキャスト」はなかなか強烈なキャラだが、それでもフィービーのただ一人の友人として、ただの変人扱いにならないようになっている。そういった子どもたちが協力して事に当たる様子は、自分の中のかつて子供だった心を刺激してくれる。

他に良いと思ったのは、旧作に登場するオバケ退治用の道具がそのままの形で出てくること。オバケを拘束するプロトンパックや中に封印するゴーストトラップ、あとはオバケ&禁止標識の有名なマークなど、旧作が好きな人は出てくるだけで懐かしさを覚えると思う。物語の中盤からは旧作に関わる要素がかなり強くなり、前作の主要メンバーたちも徐々に登場し始める。
終盤の大決戦などはベタベタなんだけど大盛りあがりで、多少のご都合さも許せる範囲。しっかり観る側にお釣りがくるような展開に仕上げてくれており満足。オバケの親玉まわりの設定は実のところ旧作とまったく変わらないのだが、個人的には内容をほとんど忘れていたのであまり気にならなかった。

まとめ

というわけで、最近の作品なのに80年代っぽさがオーバーラップする、シリーズの新世代作品としても旧作から続く3作目としても観ることができる作品。新しいキャラクターたちも皆好感が持てるし、旧作キャラクターたちの存在感もちゃんとある。ノスタルジックな空気が全体を通して残っているのも、時を経てシリーズを蘇らせる際には必要な要素なのかもと思った。

ちょっとネタバレになってしまうが、かつてのゴーストバスターズメンバーも登場。
旧作を観た人が一番観たかったであろうシーン。

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