ゲーム感想「ROGUE LEGACY2」

2022年12月11日

2022年4月末に正式リリースされたローグライト・2Dアクションゲーム。Cellar Door Games開発、販売。ジャンル名となっている「ローグライト」は、平たくいうと「ローグライク」というリプレイ性の高いゲームジャンルに類似しながらもそれより制約の緩いもの、といったニュアンス。先月日本語化されたと教えてもらったのでプレイ。

あらすじ

「河の守人」という王国でも力を持つ守護者たちがいたのだが、彼らは力に溺れ民を虐げ、それゆえに王国は腐敗してしまった。主人公である戦士は一人船渡しのカロンによって王国へたどり着く。「契約」を交わしたらしい戦士が倒れると、その子孫が彼の意思を継いで再び王国へと挑むことになる、というのが物語の流れ。

感想

2Dアクションゲームして、またローグライクジャンルとしても非常に手堅い出来の作品。基本操作となる移動やダッシュ、ジャンプなどクセのない挙動に、攻撃、秘技、魔法3つのアクションの他、ジャンプ中に下方向にスピンキックを繰り出すことができる。スピンキックは威力は低いものの一応攻撃として使用できるが、これでしか倒せない敵や打ち消せない弾などがあり、また足場のない空間に設置された街灯などに対しこのキックを使って着地することなく移動するといった場面があり、本作において重要なアクション。いずれも直感的に扱うことができ、2Dアクションゲームとして文句のつけようがないレベルの操作感だと感じた。
ゲームとしてはダンジョンの奥にいる6体の「河の守人」を倒すのが主な目的となっている。拠点からダンジョンに潜るたびにその構造がランダムで変化し、プレイヤーがやられるとリトライではなくそのときの操作キャラクターは鬼籍に入り、次のキャラクターとして能力もタイプも異なる「世継ぎ」を選んでまたダンジョンへ挑んでいく、というのが主な流れ。「先代」が道中に手に入れたゴールドは拠点の拡張やアイテムなどの購入に使うことができるのだが、冒険に行く際に船渡しのカロンにすべて船賃として失うので出発前にできるだけ使い切らないといけない。

ゲーム内画面。
世継ぎ（次に操作するキャラクター）選択画面。職業、能力、特性などすべてランダム。
左の額の中のキャラクターは先代で、もう操作できない。

ダンジョン内には敵やゴールドの入った宝箱の他、特殊効果のあるレリックが手に入る。レリックの中には強力な強化をもたらすものがあるが、そういったものは大抵それ相応のマイナス点があるか、もしくはレリックを所持するためのゲージ「気力」を大きく減少させる。気力は簡単にいうとレリック専用の重量制限のようなもので、ある数値を下回ると最大HPが減少するため、気力（HP）を取るかレリックを取るかといった判断も重要となってくる。
そうしたパラメータ仕様以上に、本作はこの手のゲームにしては非常にホスピタリティが高いと感じた。まずチュートリアルが丁寧で、基本的な操作など実践する形で教えてくれるし、ダンジョンはロケーションごとに難易度が表示されたり、ゴールドを使って能力を伸ばすところでも効果が高いものや基本的なものには「推奨」と明示してくれている。
特に本作で良い仕様だと思うのは、ダンジョン構造を「固定」する機能。これを利用すると、本来は入るたびに構造がランダムに入れ替わるところを、直前の構造のままロックすることができるのだ。手強いボスにやられてしまった直後など、またランダムダンジョンを攻略してボスまで行くのは大変である。しかしダンジョンの固定を行えば、最初からマップを参照することができるし、敵の配置も前回と変わらないため、簡単にボスまでたどり着ける（ファストトラベルが解放されていれば、それも記憶される）というわけである。
ただいい事づくしというわけではなく、固定を続けるたびにゴールドの取得倍率が下がったり、ダンジョン内の宝箱やレリックなどは復活しないなどでバランスを取っている。探索してゴールドを集め、拠点強化したい場合と連続してボスに挑みたいときとで使い分けることができるのは非常に自由度が高く、その理屈も世界観に根ざしたもので違和感はない（元々なんでもアリ感が強いけども）。
さらには、オプションでハウスルールを設定でき、敵のダメージ倍率などゲームの難易度自体を細かく調整できるなど、半ばデバッグコマンドのような部分まで扱えるようになっており、開発者の設定した難しさを押しつけるというよりは徹底してプレイヤーに楽しんでもらいたいという方針が見え隠れしており、この思い切りは他にはない。

まとめ

というわけで、2Dアクションゲームとして申し分ない手触りと、ローグライトゲームとしてのリプレイ姓、おもてなし度の高さなど、この手のジャンルとしてほしいものがほとんど全て入った、欠点も隙もない作品。コミカルな絵柄ながらゲーム自体はかなり骨太な難易度となっており、十分なやりごたえを備えている。そういった部分でもやはり手堅い。