ゲーム感想「Death’s Gambit:Afterlife」

2021年9月末にリリースされた2Dソウルライク・メトロイドヴァニア。White Rabbit開発、Serenity Forge販売。2018年にリリースされた「Death’s Gambit」にアップデートでボスやアイテムが追加され、拡張版「Death’s Gambit:Afterlife」としてタイトル改定されたもの。プラットフォームはPC(Windows)のほか、Nintendo Switchなど。2022年のSteamウィンターセールで購入したのでプレイ。

あらすじ

アルドウィン王国には、不死の源があるとされている。各国の王や権力者たちはその不死を我が物にしようとアルドウィンへの侵攻を繰り返し、何世紀もの間続くそれは「大遠征」と呼ばれていた。ヴァドス王国の戦士である主人公ソルンも、王の命令により遠征隊を率いてアルドウィンへと赴いたが、アルドウィンには不死者や追放された神が跋扈しており、為す術もなく部隊は全滅してしまう。
死んだはずのソルンだが、彼は死神と契約をすることで不死者となって蘇る。不死が広まると死神にとっては商売上がったりであり、不死の蔓延を阻止できる見込みがありそうな者として選ばれたのがソルンというわけである。こうしてソルンは死神に導かれ、不死の王国であるアルドウィンへと進んでいく、というのが導入。

死神との会話イベント。これからは死神の使いとして、
同じ性質の不死者たちと戦うことになるのだ。

感想

本作はいわゆる「ソウルライク」な横スクロール・アクションのメトロイドヴァニアである。中世ヨーロッパ風の世界のダーク・ファンタジーであることだけでなく、ゲームデザインもかなり寄せており、敵を倒して得られる「エッセンス」を、セーブポイントで使用することでステータスを上昇させていく流れや、多種多様な能力の装備アイテム、死を前提としたいわゆる「死にゲー」に分類される高難度アクション、死んだあとのデスペナルティなど上げればキリがない。
主なアクションは攻撃(メインとサブ)やアビリティ、ジャンプなどの他、ローリング、バックステップ、スライディング、あとは盾によるパリィなど、いかにも「ソウル」シリーズを2D化させたものが一通り揃っている。最初に高難度アクションと書いたものの、レベルアップに必要なポイントがかなり緩く、死亡時に失うのがそのポイントではなく回復用アイテム(本家でいう「エスト瓶」)だったりと本家「ソウル」に比べると難易度はかなり低めな印象(それでも難しいけど)。
またこの手の2Dゲームにしては武器カテゴリが豊富で、剣や槍、斧、大鎌など7種類。武器グラフィックだけでなくカテゴリごとのモーションもそれぞれ異なり、さらに扱えるアビリティまで違うので結構リプレイ性があって良いと感じた。もちろん道中で違う武器種が手に入るので、ステータスと相談しながら選ぶことも可能。そういうところもいい意味で「ソウル」しているといえる。

またグラフィック、マップデザインもかなり凝っており、ちょっと自機や敵やオブジェクトが背景と馴染みすぎている感はあるものの、しっかりロケーションごとに特徴があって目を引くものになっている。場所ごとの音楽もかなり合っており、ダーク一辺倒でなく自然の雄大さを感じさせたり叙情的だったりと飽きさせない。この辺りはメトロイドヴァニア的な面白さにも通じている。
ボスを倒すことで新しい能力を取得でき、それらを使用することで未踏エリアへの進行やそれまで到達できなかったギミックをパスしてアイテム回収などができる。得られる能力も二段ジャンプやエアダッシュ、ダウンクラッシュ(着地の衝撃で地面を破壊する)などわかりやすい。ゲーム自体は「ソウル」シリーズ寄りでありながら、メトロイドヴァニアとしての遊びもあり、内容としてはかなり濃いと感じた。

ゲーム終盤。巨大な敵やオーラをまとった敵が雑魚として登場する。
ロケーションも様々。

本作独自の部分というと、エリアボスに何度も挑む際に死亡回数が表示される。これは死ぬたびに死神がその魂を持ち帰るからそうなっているのだろうが、死をテーマとしたゲームでこの数字を出されると「あー、けっこう雑に死んでるなあ」と意識させられるわけである。はっきりいって機能としてそれほど大したことをやっているわけではないのだが、少ない労力で他のゲームであまり感じない意識=面白さを生み出していると考えるととてもよい仕様であるように思う。
他にも何度も死ぬたびに死神が語りかけてきて「また死んだのか、まったく」とか呆れられたり、強化素材が溜まっている状況だと「装備のアップグレードを忘れてないか?」といったアドバイスをしてきたりする。アドバイス自体は無機質なtipsでなら他の作品でもあるだろうが、ソルンというキャラクターの死に寄り添っている死神のセリフにすることで「ゲームの物語に組み込まれた死」になっているのがなかなか演出巧者な気がした。ボス戦もけっこうアクションゲームとしてしっかりしており、それぞれに固有のギミック(=遊び)があり、飽きさせない。
個人的に残念なところとしては、キャラクターの操作方法がまとめられておらず、チュートリアルステージ(最序盤)でしか確認できないこと。私は先に紹介したアクションの中で「スライディング」のやり方がわからず、一部イベントを終盤まで進めることができなかった。スライディングを使うと狭い穴を抜けられるのだが、使わなくても通常プレイで困ることがないため「なんかそのうち体が小さくなる能力を覚えるんだろう」と考え、穴を見つけてもその場で抜けられると思わなかったわけである。ちなみにスライディングはLT+RT(盾構え+サブ武器のボタン)で出せるぞ。

まとめ

というわけで、「ソウルライク」なゲーム性とメトロイドヴァニアがバランスよく配置された作品。この手の「2Dソウルライク」ジャンルの中では難易度に比較的手心がありながらも、多彩なロケーションやアクションゲームとしてのギミック、メトロイドヴァニア的面白さなど一通り揃っている。ちなみに本作はマルチエンディングであり、特定のことを行えばエンディングが分岐する。翻訳なども特に気にならないので、この手のジャンルとしてわりと入りやすいのではないかと思う。
ちなみに有料DLC「ASHES OF VADOS」も配信されており、そちらではさらにアリーナやボスラッシュの他、新たな追加ステージやボスなどもあるそう。

画像:© 2018 White Rabbit, Serenity Forge

PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/356650/Deaths_Gambit_Afterlife/?l=japanese

Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000049978.html