ゲーム感想「メトロイドプライム リマスタード」
2023年2月にNintendo Switchで配信された3D探索アクションゲーム。2003(北米のみ2002)年にゲームキューブで発売された「メトロイドプライム」のリマスター版。私はGCはまったく触れていなかったハードなのでシリーズ初プレイ。販売はもちろん任天堂、開発はGC版を開発したレトロスタジオ。
ストーリー
バウンティーハンターのサムス・アランは、あるとき正体不明の救難信号を受ける。発信地点である惑星ターロンIVへ向かうと、その軌道上にはかつて彼女が壊滅させたスペースパイレーツのフリゲート艦があった。サムスがその艦を探索すると内部は重篤なダメージを受けており、中にいたパイレーツもほとんどが死傷者。どうやら彼らは「フェイゾン」というエネルギーの実験を行っており、それによる実験体の暴走で被害を受けたようだ。サムスは艦の奥でフェイゾンにより凶暴化したパラサイトと交戦し、結果それを動力炉に突き落とす。
艦が崩壊する中をなんとか脱出すると、そこにはスペースパイレーツのボスであり彼女が倒したはずのリドリーが機械の姿になって宇宙を飛び回っていた。彼らの目的は何なのか、そしてフェイゾンとは一体何なのかを突き止めるため、サムスは惑星ターロンIVへ降下していくリドリーを追いかけるのだった……というのが導入。
感想
ゲームハードが進化するにつれ特にアクションなどのジャンルは主流が2Dから3Dに移り変わっていったが、2Dでやっていた遊びをそのまま一人称3Dゲームに持ち込んだのが本作。そもそも一人称と探索ゲームは相性が良く、「メトロイド」シリーズの「探索」という遊びがそこに違和感なく溶け込めるのは当然といえば当然なのだが、画面構成が大きく変わっても遊び心地はまさしくメトロイド。「能力取得による行動範囲の拡張」という根幹の要素はそのまま、チャージビームやモーフボールといったおなじみの能力を駆使してターロンIVを探索していく。
本作の新たな仕様として「バイザー」システムがあり、特に初期から所持している「スキャンバイザー」はマップのオブジェクトや敵などの情報を入手できる重要なアクション。ゲームをプレイしはじめの頃は正直面倒だったが、探索で躓くとスキャンから得られる情報が重要になってくるので途中からどんどん積極的にスキャンするようになる。また、エレベータやスイッチの起動などにも使用するため、避けては通れない。他にも熱源感知するバイザーやX線を使ったバイザーなどで、通常のコンバット・バイザーでは捉えられないものを捉えることができる。この辺りはしっかりと最後まで遊びに組み込まれていてよかった。個人的には3Dレースゲームのように奥へコロコロスピーディーに進んでいくモーフボール時の移動が新鮮で好き。また、同じモーフボールでいける穴でも遊びがあるマップでは2Dゲームのような視点になる場面があり、ここは従来のメトロイドの遊びの構成になっている。
ただ、探索範囲が3D空間、そして一人称になったことで、単純に重要なオブジェクトを見つけるのがより難しくなったというのが正直な感想。しばらく迷っているとリモートスキャンという次の目的地を示す機能が発動する。これ自体は救済措置として良いのだが、こうした誘導が必要なくらい薄味というか、ストーリー自体はスキャンした情報から何が起こっているのかを把握するしかない。
また、「メトロイド」シリーズの特徴として、後半のボスなどは効果的な武器や倒すための手順が限られていることが多いのだが、本作はこれが2D作品よりも高難度。武器に関して、相手の「色」に対応した武器が効果的というのはゲーム画面だけでわかるが、ある特定の手順をふまないとダメージを与えられない敵に関してはなかなか気づくのが難しい。実はスキャンしたエネミーログの中に倒すためのヒントというか答えが書かれているのだが、今遊ぶとなんというか、一昔前のゲームだなという印象。もともと「メトロイド」はそうした答えに気づく前までは難しいのだが、本作のシューター部分もなかなか難易度が高く、ロックオン機能などあるものの最近のゲームと比較するとやはり大味。移動速度が遅めなことに加え、敵の撃ってくる弾の精度も高く、回避行動はあるが発動が難しいのでダメージを受けながらの殴り合い(撃ち合い)になることが多かった。これは個人差があると思うがやはり3D移動は2Dと勝手が違い、奥行きの距離感が掴みづらく自機の位置取りがし辛いのもあると思う。加えて本作は毒やマグマなどの環境ダメージが痛く、セーブポイントの位置や少なさもちょっと意地悪。マップも複雑で、その割にその中を従来作品以上に行き来、また隈なく探索させられる。シリーズ本編(こちらも難易度は決して低いわけではないのだけど)とはまた別物なんだなーと感じた。
まとめ
というわけで、3Dになった「メトロイド」で、シリーズの中でも探索とアクションが高難度な骨太作品のリマスター版。難しさや複雑さなど、個人的には面白さと同じくらいの面倒くささを感じてしまったのだけど、派生作品だから許される難易度設定なのかも。ただこのコアな感じにファンがつくのも納得だし、3D謎解きアクションを久々にがっつり堪能できたので、覚悟して挑む分にはやりごたえある冒険を楽しめると思う。
画像:© 2023 Nintendo
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