ゲーム感想「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」
2023年10月にNintendo Switchでリリースされた横スクロール・アクションゲーム。開発、販売は任天堂。いわずと知れた同社の代表的IP「マリオ」シリーズの新作にして、11年ぶりの所謂「2D」マリオとなっている。
ストーリー
フラワー王国のフロリアン王子に招かれ、遊びに来たマリオたち一行。歓待を受ける彼らの前に大魔王クッパが乱入し、王子がマリオたちに見せようとしていた不思議な力を持つ「ワンダーフラワー」を奪い取ってしまう。なんとその力によりクッパはフラワー城と合体、意思を持った城となってしまったのだ。ワンダーフラワーの力で暴れまわるクッパ。マリオたちはクッパの暴走を止めるため、フロリアン王子とともにクッパを追いかけるのだった……というのが冒頭。
感想
「スーパーマリオメーカー」などを除けば、久しぶりの横スクロールマリオの新作。操作できるキャラクターが12人となっており、そのうちのヨッシーとトッテンは敵に接触してもダメージを受けないという補助機能がついている(が、かわりに変身による能力が使用できない)。このキャラクターたちを使って、クッパを倒すためにフラワー王国中のステージをクリアしながら「ワンダーシード」を集めていくのが目的となっている。

変身したときの色や見た目がちょっと違うので好きなものを選ぼう。
またパワーアップに関して、今回注目されている「ゾウ」状態はワンダーな世界に合わせたイロモノかと思いきや鼻でブロックを破壊したり水を噴射し花に水を与えたりなど、目玉なだけあってゲーム的部分でも世界観にフィットしている。他にもお馴染みのファイヤーほか、新しい変身が登場する。
今回の目玉は「ワンダーフラワー」。各ステージ上にひとつあり、ワンダーフラワーに触れることで周囲が不思議空間に変化し、それまでのステージ構成から一変する。土管が尺取り虫のように動き出したり、敵が大勢現れて歌いだしたり、マリオたちの体が伸び縮みするようになったりと、その内容は様々。ワンダー空間の中でワンダーシードを手に入れると、そこで通常のステージに戻るという仕組みになっている。最初はワンダーネタを見るだけの「見せ」要素が強いだけかと思ったが、ワンダー空間になることで遊び自体にも変化があり、どちらかというと大掛かりなギミック的側面が強い。どれもレベルデザインがしっかりしているため、退屈にはならないように配慮されていると感じた。

こうした遊びの変化がステージごとに様々で飽きさせない。
また地味だがオンライン要素面白い。これは同じエリアやワールドを遊んでいる他プレイヤーの姿が半透明状態で見えるというもの。マルチプレイとは違い位置情報以外の同期はおそらくしていないが、プレイヤーがやられてしまった際に他の半透明プレイヤーに接触することで死亡状態から復帰できる。このときにやられている状態の見た目が幽霊のようになっており、これが地味に面白い上に「他のプレイヤーに接触する」という一つの遊びとして機能していると感じた。この復活の仕組みによりゲームとしての難易度は下がっているが反対にオンライン上でのゆるいつながりの遊びが生まれており、カジュアル路線ならこちらが正解だと思った。また謎解き要素の強い隠されたフラワーを探すステージや、配置された敵をすべて倒すコロシアムステージなど通常の2Dステージ以外の遊びもある。
もう一つの要素として追加されたのが「バッジ」要素。これはマリオたちの変身とは別に、ジャンプや移動、その他の能力などをひとつだけ追加や変化させることが可能。ジャンプ力をあげたり、空中で滑空や再度スピンジャンプができたりなどアクション自体を変化させられる。これにより隠し要素を取りやすいバッジや、落下やトゲ接触を一回防ぐバッジなど、プレイヤースキルにあわせた遊び方ができるのだ。

スタート時にキノコを自動取得するといったフォローするものもある。
正直なところ最初はワンダー要素のネタ切れを危惧しながら遊んでいたのだが、結果的にはそう感じることもなくクリアーまでいけた。それはそれですごいのだけど、多彩すぎるがゆえに新鮮ネタだけ一通りなめただけで応用レベルデザインをじっくり味わうまでいかなかったような気もする。応用ステージも一応はあるものの、同じネタを使い続けてもネタ切れとかマンネリとか印象を持たれる可能性もあるし、このあたりのバランスは難しいと思った。
まとめ
というわけで、2Dマリオという完成されたジャンルでありながらさらに新しい見せ方と遊び方を盛り込んできた作品。ゲームを遊んだことのない方でも楽しめる難易度でありながら上手い人でも気持ちよくプレイできる、まさに万人受けするレベルデザイン。ただし難しさを求める人にはちょっと歯ごたえ不足に思うかも。
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