ゲーム感想「The Last Faith」
2023年11月にリリースされたメトロイドヴァニア。開発はKumi Souls Games、販売はPlayStack。PC版をプレイ。
ストーリー
絶望と腐敗に呑まれ、人々はやがてくる呪いに絶望している世界。そうした死から救済をすると嘯く者が力を持ち、やがて神を名乗るようになった。その神に逆らい抗おうとしたものは投獄された。主人公エリック・ニクトルンもその一人だった。
感想
遊んだ印象として、アクションゲームとしての触り心地は傑作メトロイドヴァニア「Blasphemous」から、世界観はフロム・ソフトウェアの傑作3Dアクションゲーム「ブラッドボーン」の影響が見られる。さらに「ソウル」シリーズのステータスやレベルアップシステムを足した、全体としてもコテコテでわかりやすいソウルライクなメトロイドヴァニア(「ソウルヴァニア」ともいうらしい)になっていると感じた。
まずドット絵のクオリティは素晴らしかった。どうしても前述した「Blasphemous」っぽさは禁じ得ないが、ブラッドボーンの陰鬱で退廃的な雰囲気をヴィジュアルに影響を受けた世界観は元々ダーク&ゴアなBlasphemousと親和性が高く、違和感がない。本作はクラウドファンディングで目標の4倍以上の支援額を叩き出しており、やはり「『ブラッドボーン』っぽい世界観の『Blasphemous』、あるいは2Dソウルライクゲーム」というだけである程度の引きがあるのだなあと思った。
基本的な自機アクションとしてはジャンプと回避のほか、通常の武器攻撃と弾丸や集中力などを消費する特殊攻撃、ボタンを組み合わせたスティグマや武器固有攻撃がある。操作性自体は悪くないが、ただしゃがみ中にできることがなく、ただのコストなし回避行動になっているのはちょっと残念。他にも即死穴の場所が視認できない高さにあるなど、細かい部分で不満は残る。
とはいえ総じてアクション面は個人的にわりとよかった。とくにボス戦はソウルライクゲームらしい歯応えのある強さで、広範囲で激渋だが回避に答えのある攻撃や、段階的にパターンや苛烈さが変化するバリエーションの豊富さなど、ちゃんと「ソウル」シリーズらしい何度も挑む形に仕上がっている。また通常の敵も種類が多く、かつその多くがプレイヤーの動きが一定にならない配慮を感じられる行動パターンになっているので、その組み合わせだけで場所ごとに遊び心地に差をつけている印象。各エリアの探索やステージギミックともあわせて全体的に「同じことをしている」感じにならないのはなんだかんだで練られているのではないかと感じた。また若干のネタバレを含んでしまうが、物語が進行することで主人公が変身し戦闘能力を一時的に大幅パワーアップできるようなアビリティを入手することができる。ボス戦が厳しい際にこれの使い所を考えるのも、本作ならではの楽しさだと感じた。
その他の部分に言及すると、原文か翻訳のせいかはわからないがキャラクター同士の会話のやり取りが意味不明レベルで噛み合っていないというのは世界観が売りの本作ではわりと痛いと思った。反対に音楽は世界観とマッチしており、グラフィックと併せてゲーム全体を盛り上げている。
本作の地図機能についてだが、通常のメトロイドヴァニアとはちょっと特殊というか、ゲーム上のマップ配置と地図上の位置が違う箇所がある箇所がある。具体的には、とある場所Aから通常の建物に入り、別の出入り口から場所Bに出た場合、建物が不思議空間でない限りは場所Aと場所Bはそれなりに隣接しているはずだが、地図上の表記はかなり離れた位置に記されているのだ。
メトロイドヴァニアのような探索アクションでは未踏箇所に進む途中に分岐路があった際に実際のマップ構造と地図に齟齬がなければ「こっちへ行けばあそこと繋がりそう」という推測に役立つのだけど、地図上の配置が実際のステージ配置に則していない場合そうしたことが成立しにくくなってしまう。本作は結構そこに苦慮したようで、他にもエレベータの昇降ポイントの間に通路がある、第二レイヤーという建物専用の地図があるなど、3次元的な奥行きをむりやり平面地図に落とし込んでいるため、正直2Dアクションゲームの中では地図がかなり把握しづらいものになっていると感じた。
ただ、こういう「マップ配置と地図の配置に齟齬があるために全体像がつかみにくい」というのはデメリットだけではないと思う。メトロイドヴァニアに限らないが、地図があるゲームはそれによってゲーム全体のボリュームや、場所からの分岐の有無などがある程度予測できてしまうものだが、本作のような表記形式はそうしたルールから逸脱しているので、その予測が立てにくい。これは考え方によってはマップが広がり続けるワクワク感を維持できる利点があるといえるだろう。まあ構造のわかりやすさを犠牲にしてやることかといわれると疑問ではあるが、「探索の終わり」を予見されない場合の一つの答えではあるかもしれない。
まとめ
というわけで、「ブラッドボーン」風な世界観に仕上げた2Dドット絵ソウルヴァニア。地図の見にくさや細かい部分での不満など荒削りな部分はあるものの、アクションは悪くないし、ボリュームもそれなり。世界観やグラフィックが気になった人は触ってみても良いと思う。
PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/1274600/The_Last_Faith/
Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000056205.html
PlayStation
https://store.playstation.com/ja-jp/concept/10005554
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