映画感想「スーパーマリオブラザーズ・ムービー」

2023年公開の3DCGアニメーション映画。いわずとしれた世界的に有名なゲームIPであるスーパーマリオの映像化作品。任天堂とユニバーサル・ピクチャーズ製作、アニメーションは「ミニオンズ」のイルミネーションが手掛ける。Amazon Prime Videoにて視聴。

ストーリー

氷の国に、大魔王クッパ率いるカメ軍団の飛行要塞が襲来した。強力な力を秘めた「スーパースター」を守るペンギンたちは抵抗するも、クッパ軍の圧倒的力の前に屈しスーパースターはクッパの手に落ちてしまう。クッパがスーパースターを奪った理由は、キノコ王国のピーチ姫にプロポーズする際の手土産にするためだった。
一方アメリカのブルックリン。嫌な上司の下で働いていたマリオとルイージの兄弟は、独立して配管修理会社「スーパーマリオブラザーズ」を立ち上げる。しかし依頼は閑古鳥状態で、ようやく掴んだ初仕事も大失敗。作ったCMもバカにされたマリオは父親から「弟(ルイージ)を巻き込むな」と避難され落ち込んでしまう。
そのときちょうどブルックリン地下の配管が故障し街が水浸しになる。二人はそれを修理して名前を売ろうと目論み地下下水道に乗り込むのだが、そこでワープ土管に吸い込まれてしまう。土管の中でルイージと離れ離れになってしまったマリオがたどり着いたのは、現実世界とは思えないキノコ王国だった……というのが序盤。

キノコ王国の景色に戸惑うマリオ。
ゲーム世界の背景はかなり緻密に映像化されている。

感想

話題作だし、もちろんマリオは好きなのだけど、正直な感想をいうと個人的にはちょっと期待しすぎたかなという満足度。端的にいうとアメコミヒーロー映画的な「始まりの物語」フォーマットの中にマリオを押し込みながら、マリオネタやシーンを盛り込んでいるという感じ。冒頭のマリオたちが現実世界での配管工スタートであることなど、元々の設定なのでそれをきっちり踏襲するのはいいことなのだけど、マリオというキャラクターのホームフィールドはキノコ王国だと思っていたので、マリオがキノコ王国の景色やワープ土管などの「マリオ的な」ギミックに驚いているシーンや、マリオ自身が自信のない落ちこぼれキャラクターであるとか「キノコが実は苦手」という設定も含めて、それらを飲み込むのに結構苦労させられた。
映画の大部分は前述したように「マリオネタ」「マリオあるある」で構成されている。ゲームの「スーパーマリオ」本編だけでなく、その派生作品の「ルイージマンション」や「スーパーマリオカート」、「ヨッシーアイランド」「ドンキーコング」などに登場したシーンやキャラクターが見た目そのままに登場。本作が評価されているのはおそらく良くも悪くも大半がここの部分なのではないかと思う。CGはさすがイルミネーションだけあって画のクオリティは申し分なく、本当にゲームから飛び出してきたかのようなマリオたちが生き生きと動いている。あとは昔のマリオのような2D的なアクションステージやを3Dで再現したり、ゲームの世界が違和感なく映像化されているなど、流石に任天堂もガッツリ関わっているだけあってマリオという作品を大事にしている感じも伝わってきた。

ゲームに登場するようなアスレチックステージの全景。
なにげにゲームで見られる機会はそんなにないので映画ならではのシーン。

あとは個人的にクッパ大魔王のキャラクターが一番好印象。ピーチ姫と結婚して世界征服を目論むという原作の設定を受け継いでおり、自作のラブソングを弾き語ったり、クッパ以外の部下はそれ(ピーチに惚れている)に呆れていたりなど、ちゃんと映画ならではの膨らませ方になっていて良かったと思う。
ただ正直私が望んでいたのはマリオが映画化することで起こる化学反応的なものというか、どちらかというとゲームで表現できないことを映画に求めていたので、ゲームのネタやシーンを映像再現しましたというのが大半で終わってしまったのは個人的にはちょっと物足りなかったかも。また、ネタ優先の弊害か物語がちょっとおざなりというか、勿体なく感じた。

まとめ

というわけで、世界的に有名なゲームIPの映像化作品。キャラクターデザインだけ見れば、マリオやルイージ、ドンキーコングなど、まんまゲームから飛び出してきたレベルで違和感がない。ゲームのシーンやキャラクターの小ネタ探しが好きな方なら楽しめると思う。

Amazon Prime Video
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0B8S8K555/