ゲーム感想「御伽活劇 豆狸のバケル ~オラクル祭太郎の祭難!!~」

2023年にNintendo Switchで発売されたアクションゲーム。開発は「毛糸のカービィ」「ヨッシーウールワールド」などを手掛けたグッド・フィール。今回2024年9月にSteamで背信されたのでプレイ。ちなみにタイトルの豆狸は「まめだぬき」でなく「まめだ」と読むそう。

ストーリー

御伽話世界の日本。豆狸の少年バケルは、なにかに追われていたイッスン族のスンと出会う。スンが言うには、オラクル祭太郎という男が邪悪な気によって人々を洗脳したお祭り「厄祭」で日本を支配しようと目論んでいるらしい。そのためスンは小さい体ながら危険を犯して、御伽英雄(おとぎヒーロー)の一人である足柄山のキンタロウに助けを求めようとしていたという。バケルはタヌキ族の長老の命令で、徳島からスンを神奈川の足柄山まで護衛することになる……というのが導入。

感想

この作品が発表された直後、コナミ(コナミデジタルエンタテインメント)の往年の名作アクション「がんばれゴエモン」シリーズを思い出したのは私だけではないはず。ちなみにグッド・フィールは「がんばれゴエモン」シリーズを作っていたスタッフらが多く在籍していることでも知られており、良作アクションを数多く生み出している。
ゲームの大まかな流れは、ストーリーに沿って開放されるアクションステージをワールドマップから選択しクリアしていくという、王道スタイル。全体的なヴィジュアルは和風ながらガチガチでなく、コメディタッチなゆるい感じの世界観や主人公バケルの配色など、往年のゲームデザインとあいまってやはり「ゴエモン」っぽさをちょっと彷彿とさせる。

敵のモチーフは「お祭り」。盆踊り小僧や祭提灯、水風船の敵キャラクターなど、
明るくコミカルなテイスト。見ていて楽しい。

ただ、自機アクションに関してはかなりイマドキな作りになっており、多彩な攻撃を組み合わせた連続コンボだけでなくジャストガードや回避カウンターといった要素もあり、3Dアクションとして見てもそれなりに本格的でスピーディ。それでいてゲーム自体の難易度は甘めなので、アクションゲームが苦手でも楽しさを味わえる作りになっている。
個人的に面白いと感じたのは主人公バケルの攻撃スタイル。太鼓のバチを持って戦うのだけど、Rボタンで右手、Lボタンで左手のバチで攻撃というふうになっており、RとLを交互に押せばバケルも両手で太鼓を連打するように連続で攻撃してくれるのだ。これが太鼓のSEやコントローラ振動もあいまって、ボタンを押しているだけでもかなり太鼓を叩いているような手応えを感じられる。自機を操作していて面白いというのは、アクションゲームにおいて相当な強みだと思った。
またストーリーが進むと、バケルは色々な御伽ヒーローたちと出会い、変身能力を獲得していく。この能力も考えられており、前述紹介した防御や回避といった繊細な戦い方に比べ中~遠距離から手数で圧倒したり、敵のガードを無視してなぎ倒すなどいい意味で大味。総じて通常時より強力だが、変身中はつねにバケルギー(化ける+エネルギー)を消費するので、どの敵に対して使うか、どのタイミングで使うかなど考える必要がある。地形と敵の配置によって難所になっているところも、変身するとあっさり抜けられるなど、どの役割も死んでおらずこの辺りも上手く作られている。
アクションステージも日本全国47都道府県+αあり、秋田ではなまはげと戦ったり、千葉では遊園地のパレードを攻略したりとその土地に由来するモチーフが取り入れられている。それだけでなく場所によっては獅子舞に乗ったレースゲームやシューティングなどのミニゲームになったり、巨大ロボ同士の戦いなどバラエティにも富んでおり、こうした「量」で攻めてくるアクションゲームはあまり触れていなかったので新鮮に感じた。

どこかで見覚えがある、巨大ロボ同士の対決も。
通常のアクションステージの箸休めのミニゲームは、どれもかなり作り込まれている。

自機の手触り感やボリュームは申し分ないのだけど、収集品関係に関しては好き嫌いが分かれそう。攻略に必要なものではない完全な収集要素があるのだけど、これを探しながらのプレイというのが個人的に馴染めないというか、アクションステージを無傷でクリアして気分がよくなったところに収集品の取り逃しがリザルト表示され微妙な気持ちに……みたいなことがあって、ここは見せ方でなんとかできないかと思った。あとは透明な壁がちょっとした段差に設定されていてかなり導線を制御しているのも正直窮屈に感じた。

まとめ

というわけで、日本全国を舞台にした和風ファンタジーなアクションゲーム。なんだかんだ「ゴエモン」臭さの残るデザインも、遊んでみるとわりと印象が変わるし、「お祭り」がモチーフの敵というのもぶっ飛んでいて楽しい。なにより最近遊んだゲームの中でも純粋に「操作していて楽しい」感覚を味わえた、手堅い作りのアクションゲーム。

公式サイト
https://mameda-bakeru.com/

Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000065829

PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/2969380/_/?l=japanese