ゲーム感想「ENDER MAGNOLIA:Bloom in the Mist」
2025年1月にリリースされたダークファンタジー・2Dメトロイドヴァニア。開発は日本のバイナリー・ヘイズ・インタラクティブ。同社が2021年にリリースした「ENDER LILIES:Quietus of the Knights」と同じ世界感を共有しており、前作の数十年後の物語とのこと。プラットフォームはPC、Nintendo Switch、PS4/5、Xboxなど。
ストーリー
「死の雨」という、人を「穢者」(けもの)という怪物に変える厄災が起こってから数十年後。「煙の国」は地下の魔力資源を吸い上げ、それらを用いて人工生命体「ホムンクルス」を作り、繁栄を享受していた。しかしあるときに地下から湧き出た穢れた煙によって、ホムンクルスが暴走してしまう。
地下の実験室で目覚めた主人公ライラックは、記憶もないままに彷徨う途中で理性あるホムンクルスのノラと出会う。普通のホムンクルスとは違う異質な見た目のノラもまた記憶がなかった。ホムンクルスを癒やす「調律」の才能を見出したライラックと、優れた剣の使い手のノラは、協力して実験場を脱出し上層を目指すことになる。

モノクロ味が強かった前作に比べ、今作の画面はそれなりに色彩豊かな見た目になっている。
感想
アクションシステムは前作とほぼ同じ。主人公のライラックは攻撃ボタン(4種類)にホムンクルス(仲間キャラクター)のスキルをセットし、それを召喚することで自由にコンボや戦術を決められる。スキルタイプはオーソドックスなアタッカータイプや、銃や魔法などを連射するタイプ、カウンタータイプや設置攻撃タイプなどがある。前作「リリーズ」にあった一部キャラの回数制限は撤廃されている。
前作からの変更として、仲間になるキャラクターごとに攻撃パターンが3種類存在するようになった(前作は1キャラ1攻撃種)。そのため前作に比べて攻撃アクションの数は増えたものの、キャラクターの数自体は少なくなっている。また戦闘に使えるキャラクターと、ファストトラベルや壁破壊などの能力を持ったキャラクターが完全に分離しており、いずれも減ったというより整理されまとめられている印象。キャラクター一人一人の掘り下げは増えた印象だが、個人的には前作の一キャラ一アクションで、編成ごとに見た目が変わる方が好みかも。
ちなみにリリース直後の現在、リピートアクションと呼ばれる関節射撃タイプ(翼人と魔女)がバカ強いので、攻略で詰まっている方は使ってみると突破口が開けるかも。
難易度に関しては、いわゆる死にゲー成分はだいぶ押さえられていると感じた。前作はとくにボス戦がかなり手強く、何度もやられながら動きを覚えて対応しないと勝てない難易度だったが、今作はちょっと詰まってもわりとスキル(仲間キャラクター)のセットを変えるだけで何とかなることも多い。もちろん終盤や一部の敵はしっかり歯ごたえもあるし、ラスボスに至ってはほぼ即死攻撃をふつうにしかけてくる。
ただこちらも敵の攻撃を瞬間だけ無効にする、いわゆるパリィのような「シェル」アクションもあるので、使いこなすことででたらめな強さで無双することも可能(ちなみにそれなりに難しい)。まだ難易度変更もできるので、スムーズに攻略しつつも要所要所で歯ごたえを用意したという感じだろうか。デスペナルティもなく、進行上戦わなければいけないボスの前にはセーブポイントが用意されているので、比較的リトライしやすい。
また、マップUIに関しても前作同様かなり良好。障害物までマップ登録され、どのアクションを使えば破壊できるのかまで明示されている。また、探索が完了していないマップはモノクロ、探索完了したマップは青で表示される。探索だけでなく進行でも迷うことが減るのはスムーズにゲームを進めることができるので助かった。ただ、探索がメトロイドヴァニアの面白さでもあるので、能力開放によって行動範囲が拡張されていく達成感はあるものの、ちょっと誘導が強すぎな気もしなくない。ちなみに、マップ踏破で青カラーになったとしても「そこから続く次のエリアへ向かったか」は判定していないので、道だけ見つけてそのままにしていると忘れる可能性はある(地図をよく見れば気づく話ではあるが)。
世界観は前作を受け継いでおり、設定などは共通している。ただ「リリーズ」ではほぼすべてが死滅した後のような世界だったが、今回の煙の国では街エリアにはNPCがほそぼそとだが生活しており、悲壮感は前作ほどではない。
また仲間になるキャラクターはホムンクルス(人造人間というよりかはアンドロイドっぽい見た目)なので、モンスター化した人間を倒し浄化(=死)して使役する前作とは違い、暴走した機械を調律(=修理)して仲間にしていくようなニュアンスになるので、意図的かは関わらずやはり悲劇的な成分は抑えられていると感じた。この辺は好みの問題といえるかもしれないが、物語の核心や主人公の扱いも含めて物悲しさや儚さのある設定がうけたシリーズではあると思うので、そういった意味での尖り具合でいうと前作に軍配が上がる。

個人的には左端の甲虫ロボみたいな「鎖の獣」が好き。
まとめ
前作の面白さはそのまま、ゲーム部分はよりブラッシュアップされた2D探索アクション。難易度を抑えめにしつつも歯ごたえを用意し、遊びやすさやユーザーフレンドリーな点も含めて、この手のジャンルでは良い意味での令和最新式な作品。期待通りのクオリティにしっかり応えている、尖った部分が薄まったという点でも万人におすすめできる良質メトロイドヴァニア。
公式サイト
http://www.endermagnolia.com/ja/
PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/2725260/ENDER_MAGNOLIA_Bloom_in_the_Mist/?l=japanese
Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000078171
Play Station
https://www.playstation.com/ja-jp/games/ender-magnolia-bloom-in-the-mist/
Xbox
https://www.xbox.com/ja-JP/games/store/ender-magnolia-bloom-in-the-mist/9PFFS71HNMGG
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