ゲーム感想「Vigil The Longest Night」

2020年10月配信の2D探索アクションゲーム。台湾のGlass Heart Studio開発。
PCとNintendo Switchで遊ぶことができる。自分はPC版でプレイ。

「Vigil」とは「徹夜」という意味と、おそらく自警団員(Vigilante)のダブルミーニング。プレイヤーは「夜警団」の女性レイラとして、夜警団の試練の儀式に挑むところから始まる。不思議な薬を飲んで昏睡した彼女は、謎の番人に導かれるようにして故郷マイエの村を訪れる。

「Vigil~」はSka Studiosの2Dアクションゲーム「Salt and Sanctuary」の影響を受けて制作されたとのこと。「Salt~」がフロム・ソフトウェアの看板IP「ソウル」シリーズをその仕様まで忠実に2D化、かつメトロイドヴァニア要素を足しているのに対して、こちらは同じフロムの「Bloodborne」でそれをやった、という印象。さらに、ビジュアルや舞台設定なども多分に影響を受けていると感じた。
ただ死亡時の仕様はソウルシリーズや「Salt~」と違い、完全に直前のセーブ状態からスタートされる、ドラキュラ月下(月下の夜想曲)タイプになっている。レベルアップに関しても同じ経験値制。回復アイテム等も自動補給されないなど、きっちりソウルライクというわけでもない。

自分はNormalでプレイしたが、バトルに関しては本家ソウルシリーズほど激ムズではない印象。特にボス戦はわりと敵のパターンや攻略方法が掴みやすく、心が折れる前にうまく回避できたりどう立ち回ればよいかわかってくる。また、レベルアップ時にもらえるスキルポイントをHPやスタミナアップ重視で振っていけばかなり死ににくくなり、さらに攻略が優しくなる設計。この塩梅は個人的に好印象だった。

ボス戦。一撃の重たさはまさに「ソウルライク」だが、ほどよく苦戦できるいい難易度。

どちらかというと道中にあるトゲなどのトラップ配置が、ソウルライクというよりしっかり2Dアクションゲームといった感じで、個人的にはこちらのほうがいやらしかった。背景もよく描き込まれていて雰囲気がある(たまに手前にあるもので見えないときがあるけど)。
武器は数種類あり、それぞれ威力やリーチ、攻撃速度とスキルなどで差別化している。また、武器ごとに強化したり能力付与したりできる。
アクションに関して一つあるとすれば、階段の上り下りで方向キーを斜めに入力しなければならないタイミングがあり、ここが操作的にストレスだった。これはPCでプレイしていると人によってコントローラーが異なるので、自分のように引っかかる人とそうでない人がいるかもしれない。
マップはかなり広いが、道中の敵との戦闘に重きが置かれているのかぎっちり詰まってはおらず、どの敵ともそれなりに距離を取るなど移動を軸にした戦い方ができる。反対に、メトロイドヴァニア要素というべき能力開放の種類は少なめ。取らなくていい種類のものもあり、それらがなくてもクリアできる設計になっているためか、絶対取得しなくてはならない系統のものでマップのほとんどを踏破できる。また、NPCなども多く登場し、イベントも多数。一度でコンプリートするのはかなり難しいだろう。ちなみにこれらのイベントの結果によってエンディングが分岐する。

故郷であるマイエの村。村人たちの依頼を叶えることで道が示されることもある。

そしてグラフィックにも力が入っており、特に巨大ボスのビジュアルは美麗さにおどろおどろしさが加わったものになっており、よく動く。自分もこれで購入を決めたのだが、実際のところ精緻な描き込みや色味が強調されている分、夜や疫病、クトゥルフといったモチーフなども相まってより「Bloodborne」っぽさが強調されているのは好き嫌いが分かれるところかもしれない。自分はイミテーションだと思って楽しんだが、その成分が強く感じるせいか、宣伝にある「台湾文化を織り交ぜた」という部分がどの辺りなのかわからなかったのは少々残念。

というわけで、ダークな雰囲気や「Bloodborne」的な世界観、ビジュアルが好きな人はツボにハマるかもしれない。またダークな世界観は好きだけど難しいのが苦手で……という人も、ゴリゴリのソウルライクよりかは優しいのでおすすめしたい。

画像:https://www.igdb.com/games/vigil-the-longest-night/presskit

PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/720560/Vigil_The_Longest_Night/?l=japanese