ゲーム感想「サイバーシャドウ」
2021年1月配信。Aarne Hunziker氏によるほぼ個人開発。10年もの歳月をかけ、音楽以外のすべてを制作したとのこと。プラットフォームはPC、Nintendo Switch、PS4/5。
ドットグラフィックの2Dアクションゲームで、崩壊した近未来を舞台に、ニンジャの生き残り「シャドウ」として機械軍団と戦いながら、失った記憶や世界が崩壊した理由を追いながら進んでいく……というストーリー。こういうレトロ風の海外ではモチーフとしてよくニンジャが取り上げられがちな気がする。
かなりファミコン愛が込められた作品で、特にビジュアル面でベースになっただろう忍者龍剣伝をはじめ、ゲーム部分は魂斗羅やロックマンなど、その当時の名作ACTのエッセンスがふんだんに取り込まれている。個人的には、ファミコン風なグラフィック、横スクロールアクション、敵がロボットということでロックマン要素が強め(敵役の設定なども)な印象。
難易度もその当時のものを彷彿とさせる歯応えで、こちらのライフはかなり心許なく、ステージ中に復帰ポイントはあるものの敵数は多く攻撃は苛烈。そしてステージの各所にトゲの床や天井といった即死ポイント多数。レベル上げのような要素はなく、キャラクターの強化は道中にある有限の成長アイテムだけなので、基本的にクリアするには己のプレイヤースキル一本のみ。「見切るか死ぬか」という硬派なレベルデザインになっている。
一応、復帰ポイントによっては、道中で手に入れたリソース的なものを払うことで、そのポイントごとに設定されたシステムを起動し、使い切りの補助アイテムを得ることが可能。補助アイテムはプレイヤーを自動追尾するドローンのようなもので、キャノン砲のようなものからバリアなど多彩。ただしプレイヤーがダメージを数回受けると消えてしまう。どこでシステム起動するかなど判断する必要はあるが、リソースはザコ敵を倒しまくれば際限なく手に入る上にデスペナもないので、あまりシビアに考える必要はない。操作感もこの手のゲームとしては基本的にストレスゼロで手に馴染む。
そしてこのゲームの見所の一つが、緻密なドットによるグラフィックだろう。メカメカしい背景の描き込みの細かさも凄いし、特にストーリーイベント(Steamの説明によるとシネマティックシーン)の一枚絵は、少ない色数という(自らに課した)制限がありながらもクオリティーが高く見える。
個人的に感動したのは、ヒロイン的なキャラクターが登場するシーンで舞う桜の花びらで、2色しか使っていないのにアニメーション次第でこんな綺麗に表現できるのかと驚いた。
ゲーム自体はステージクリア型の形を取っているがマップは地続きになっており、クリアした場所に引き返すことができる。ファストトラベルポイントもあるが数は少なめ。細かい全体マップなどはなく、能力解放によってアクションが増え、それによって行ける場所は増えていくメトロイドヴァニア的な探索要素もあるにはあるが、そうした場所は基本的にさらに高難度なチャレンジコースになっていることが多い。この辺り、あくまでステージクリア型なのだという拘りが強く感じられる。
ゲームをクリアして感じたのは、レトロゲームのレトロさを詰め込んだ「だけ」になっていないということだ。洗練されたドットのグラフィック表現、ストレスレスな操作感などをとっても妥協のなさがうかがえるし、高難度ながら復帰までの時間も短く、リトライしやすい点でもユーザーフレンドリー。
個人的には、各補助アイテムの効果などが珍しいというか、こうしたACT全盛期の頃にあまり見ないものが多くてよかった。上で挙げた以外にも前面シールドとショットが一体化したものや、投擲攻撃に反応して移動し、エネルギー転換するポッド、遠心力や攻撃を当てると軌道が変わる鎖つきの大手裏剣など、なかなか趣向を凝らした新鮮なものになっている。
レトロな見た目とゲーム性ながら随所に新しさや親切さが込められており、それがクオリティの高さに繋がっている。未だに2Dの横スクロールゲームが作られているのも、単に物好きな人達が多いというだけでなく、まだ面白さとゲーム性に伸び代があるからなのだ、と思わせてくれる作品。
画像:https://www.igdb.com/games/cyber-shadow/presskit
PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/861250/Cyber_Shadow/
Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000038019.html
Play Station 4/5
https://store.playstation.com/ja-jp/product/UP2200-PPSA01882_00-CYBERSHADOW00001
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